年々猛暑日が増え、冬場に気温が乱高下する日も珍しくない最近では、室内にいても体の不調を感じる人が多いのではないでしょうか。そんな室内で快適に過ごすためにエアコンを使う時間が増えると、電気代が気になりますよね。これから家を建てる人は、そうした温度変化の中でも快適に過ごせるように対策を行うことが大切です。その対策に欠かせないのが断熱材。今回は、そんな断熱材の重要性を解説するとともに、具体的な種類についても詳しく紹介していきます。
断熱対策をするとどのようなメリットがある?
そもそも「断熱」とは、その言葉の通り「熱を断つ」という意味です。ただし、現実的には熱を完全に断つというより、熱を伝わりにくくすることを指すのが一般的。その「熱を伝わりにくくする効果」のことを「断熱効果」と言います。
身近な素材で断熱効果を持っているのは発泡スチロール。中に冷やした食材を入れると、長時間温度を保てるのは、この断熱効果のおかげです。
住宅においては「断熱材」と呼ばれる断熱効果を持つ建材を壁や床に使うことで、外気温による室内の温度変化を抑えることができ、次のようなメリットを受けられます。
★一年中快適に過ごせる
断熱性の高い住宅は、夏場の熱気や冬場の冷気が室内に伝わりにくいため、急激な温度の上昇や冷え込みを和らげます。また、冷暖房を使う際に、室内の涼しい空気や暖かい空気を逃しにくいので、最小限の温度変化で快適に過ごせます。
★冷暖房費を抑えられる
外気の影響を受けにくく、室内の快適な空気も逃げにくい状況であれば、冷暖房の可動は最小限で済むため、その分費用を抑えられます。
★家が長持ちする
室内の温度が乱高下する住宅は結露が発生しやすく、その湿気によってカビが繁殖して建物が劣化してしまいます。その点、断熱性能の高い住宅は室内の温度が一定に保たれているため、結露によるカビが発生しにくく、住宅の寿命も延びるでしょう。
ちなみに、「断熱」と良く似た言葉に「遮熱」がありますが、こちらは「熱を遮る」ことを指すので意味が異なります。例えば、ブラインドで日光を遮ることなどが「遮熱」に当たります。この場合も一時的に室温の上昇を防げますが、日差しを受け続けたブラインドが温まると、その放射熱で室温も上がってしまいます。つまり、「遮熱」というのはあくまで直接当たる熱を一時的に遮ることを指し、熱全体を伝わりにくくするものではありません。
そのため、「遮熱効果」は暑い時期にのみ発揮され、「断熱効果」のような冬場の効果はありません。
断熱材の種類って何があるの?
住まいにとって、断熱材は不可欠な存在です。屋根や天井、床、基礎など、さまざまな場所に使われていますが、どんな種類があるか、知っている人は少ないのではないでしょうか。断熱材は、新築時はもちろん、リフォーム時にも必ずと言っていいほど使用しますので、種類やメリット、デメリットを知り、納得して選ぶのがおすすめです。
断熱材の種類は、「発泡プラスチック製」「繊維系」「天然素材系」の大きく3タイプに分けられます。さらに、これらもいくつかの製品に分かれていますので、簡単に解説します。
★発泡プラスチック製
プラスチックを発泡させ、細かい気泡を作ることで、空気を含ませて断熱します。さまざまな商品が開発されており、最近の住宅では最も多く利用されている断熱材です。
★押出発泡ポリスチレン
ポリスチレンを板状に加工した断熱材で、業界では「XPS」とも呼ばれています。水や湿気に強い、経年劣化が少ない、軽量、加工しやすいなど、使用するメリットが多いです。シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドが含まれていないのも人気の理由です。
★ビーズ法ポリスチレン
粒状のポリスチレンを型にはめて加工した断熱材で、「EPS」とも呼ばれます。「押出発泡ポリスチレン」と同様に耐水性があり、軽く、カッターで切断できるなど加工がしやすいです。コストパフォーマンスが高く、幅広く利用されています。
★高発泡ポリスチレン
発泡剤とポリエチレン樹脂を原料とした断熱材で、柔軟性や耐水性に優れています。見た目は発泡スチロールに似ていますが、割れるなどといった破損が少ないです。また、燃えた際に有害物質が発生しにくいため、環境に配慮された材質として注目を集めています。
★フェノールフォーム
フェノール樹脂に発泡剤を混ぜて形成した断熱材です。耐火性に優れ、例え火災になったとしても、燃焼時に有毒物質がほとんど発生しないため、不燃材料に認定されています。
グラスウールとフェノールフォームを組み合わせて施工し、効果を高めるダブル断熱も可能です。
★発泡ウレタン
ウレタン樹脂に発泡剤を加えた泡状の断熱材です。施工場所が複雑な形状でも、隙間なく吹き付けることが可能。鉄筋コンクリートや鉄骨にも吹き付けることができ、熱伝導率が高い鉄筋に断熱性を加えることもできます。
★繊維系〈無機質系断熱材〉
繊維状にしたガラスを圧縮してつくる断熱材。繊維の間に空気の層ができることで断熱効果を発揮します。繊維系の断熱材は、無機質系と天然素材系の2タイプがあります。
★グラスウール
繊維系断熱材の中で最もポピュラーなタイプ。リサイクルガラスを使った商品も多いです。素材がガラスのためシロアリ被害や火災などに強いほか、防音効果もあります。
★ロックウール
玄武岩や天然岩石が原料の岩綿を利用した断熱材。耐火性に優れ、防音効果もばっちり。重量が大きいことがネックではあるものの、成形の自由度は高いです。
★繊維系〈木質繊維系断熱材〉
★セルロースファイバー
パルプなどをリサイクルして、耐熱、撥水加工した天然素材の断熱材です。セルロースファイバー自体に空気胞のある天然繊維が使われているので、空気の層がより多くなり、熱や音の遮断効果が高まります。調湿効果もメリットの一つです。
★インシュレーションボード
木の繊維を加工して作られた板状の断熱材です。多孔質な木材が使われているので、防音効果も高いです。水や湿気に弱い木材のデメリットをカバーするため、耐水性を施したシージングボードという商品もあります。
★天然素材系
自然派の人に好評なのが、天然素材系の断熱材です。コスト面では割高なものが多くなっています。
★羊毛
衣類や布団などにも使われるウールは、住宅の断熱材としても昔から活用されてきました。別名「ウールブレス」とも呼ばれ、原料の70%以上がウールになっていることも特徴。天然素材なので、調湿効果も魅力です。ただし、現在では輸入品が多く、比較的割高です。
★炭化コルク
ワインのコルクなどを作る際に出る廃材を加工して作られているもの。断熱性、調湿性に優れ、防虫効果もあります。高価な断熱材です。
このように、断熱材にはさまざまな種類があります。今回は、なかでも最もメジャーな発泡ウレタンとグラスウールを詳しく紹介します。
発泡ウレタンとグラスウールのメリットやデメリットを紹介
住宅に使われる断熱材にはさまざまな種類がありますが、ここでは代表的な「発泡ウレタン」と「グラスウール」の特徴について紹介します。それぞれのメリット・デメリットを押さえておきましょう。
★発泡ウレタン
発泡ウレタンは、ポリウレタン樹脂に発泡剤を加えて形成したプラスチック系の断熱材のひとつ。プラスチック系の断熱材は、総じて軽量な上に、ウレタンフォーム内の気泡が接触しない「独立気泡構造」により水の侵入を防ぐため、水に強い特徴を持っています。そんなプラスチック系断熱材の中で、発泡ウレタンは特に高い断熱性を持っているのが魅力です。さらに施工の際、吹き付けると膨らんで固まるため、隙間が生まれないのもメリット。断熱性はもちろん、気密性も高くなります。
ただし、性能が高い分素材が高価なため、費用がかさむ点には注意が必要です。加えて、プラスチック系断熱材に共通する「熱に弱い」という欠点もあります。
〈メリット〉
・軽量で水に強い
・断熱性能が高い
・気密性が高い
〈デメリット〉
・価格が高い傾向がある
・熱に弱い
★グラスウール
グラスウールは、高温で溶かした繊維状のガラスを接着材で成形した鉱物系の断熱材。住宅の天井や床、壁などに幅広く用いられる素材で、断熱性だけでなく耐火性・防火性にも優れているのが特徴です。さらに、吸音性も高いため、防音用に使われることも。また、価格が比較的安価なので、導入コストを抑えられるのも魅力です。
一方で、施工が難しいことや、湿気に弱いというデメリットがあります。そのため、施工時のズレや脱落が起こったり、温度差による結露や雨漏りなどで湿気を含んだりした場合、断熱性能低下の原因にも。施工の際には吸湿を防ぐ措置が欠かせません。
〈メリット〉
・コストを抑えられる
・耐久性が高い
・防火性が高い
・発がん性がなく、人体に優しい
〈デメリット〉
・湿気に弱い
・施工の難易度が高い
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